『明日は晴れるかな』運用・コスト最適化Tips|Google API・AIレビュー利用サイトの実践知

本ページでは、地域イベントプラットフォーム『明日は晴れるかな』を安定運用するために欠かせない APIコスト・サーバー負荷・スケール戦略について整理します。

現在の運用は ConoHa WING(共有サーバー)単体による構成ですが、これは「技術的制約」ではなく 予算・管理負荷を最適化するための戦略的選択です。設計段階では、フロントにVPS(Nginx)を配置し、 バックエンドをConoHaに分離する構成も検討していました。

システム自体は全国規模に対応できる柔軟な設計ですが、APIコストやサーバー負荷を考慮し、 現在は会津・福島を中心とした地域特化運用を採用しています。

下図は「APIコスト」「サーバー負荷」「スケール戦略」の全体像をまとめたものです。

コスト・運用最適化の全体図

1. 全国展開できる設計と、地域特化運用を選択した理由

本システムは、地方 → 県 → 地方圏 → 市町村 の4階層タクソノミー、AIパイプライン、施設データモデルなど、 全国展開を前提とした設計で構築されています。

しかし、全国規模で運用すると Google Places API や OpenAI API の使用量が急増し、以下のようにコストが大幅に上昇します。

しかし、対象エリアを全国化した場合、Google Places API や OpenAI API の消費量が大幅に増え、以下のような運用コストが跳ね上がります。

  • Places API 呼び出しの増加(地名・会場数の増加)
  • AIリンク集パイプライン(Step0〜4)の都道府県 × カテゴリ分増加
  • 投稿件数増加 → AIレビューの負荷増大
  • WP Cron の増加による共有サーバー負荷の上昇

これらは「技術的な限界」ではなく、持続可能な予算で安定運用するための戦略的判断です。


2. Google Places API のコスト最適化

Google Places API は、住所や公式サイトURLなどの施設情報を取得する強力なサービスですが、呼び出すたびに課金されます。

■ 既に実装済みの節約仕様

  • place_id を施設CPTに保存し、2回目以降はAPIを呼ばない
  • 施設自動生成は初回のみ実行(同じ会場が複数イベントで使われる地域特性に最適)
  • 住所・電話番号などの応答メタをキャッシュとして再利用

このキャッシュ戦略により、イベント数が増加してもAPIコストが指数関数的に増えない構造を実現しています。


3. OpenAI API(AIレビュー)のコスト最適化

イベント投稿・施設投稿時にバックグラウンドで実行されるAIレビューは、複数の分析ステップがあり一定量のトークンを消費します。

  • レビュー結果をメタに保存し、再処理を最小化
  • 今後、差分レビュー(変更された箇所のみ再チェック)へ拡張予定
  • 処理は非同期(WP Cron)で実行し負荷を分散
  • 必要に応じて軽量モデルへ自動切替予定

会津・福島限定運用であれば、現状のコストで安定した運用が可能です。


4. サーバー構成とスケーラビリティ戦略

開発当初には、以下のような分散構成も検討しました。

  • フロント:VPS(Nginx)
  • バックエンド:ConoHa WING(PHP-FPM)
  • 静的アセットをCDN配信

しかし、この構成はサーバー管理コストが高く、予算も跳ね上がるため、現在はConoHa単体 × 地域運用という最適バランスで運用しています。

■ 設計は全国対応、運用は地域特化

  • タクソノミーとDBは全国規模を想定
  • AIパイプラインも県単位で拡張可能
  • コスト最適化のため、現在は会津・福島に縮小して運用

「全国対応できる柔軟性」と「地域運用の現実性」を両立したハイブリッド戦略です。


5. 今後の最適化ポイント

  • フライヤーOCR+自動項目補完の実装(入力の粗さとAIレビューコストを同時に改善)
  • リンク集AIパイプラインの「差分更新」対応
  • 施設データのローカルキャッシュ強化
  • 高負荷時には VPS / 専用サーバーへの段階的移行

これらの改善により、全国展開にも備えた柔軟なスケール戦略を維持します。

開発思想やAI協働の背景については、バイブコーディング実践例をご覧ください。

開発者プロフィール

Rさん(障がい者施設 支援員/地域情報サイト運営/元エンジニア)
福島県会津で福祉現場に従事しながら、余暇時間を使ってChatGPTとの共同開発を推進。
「人は検証と指示、AIはコーディング」という役割分担を確立し、短期間で多機能な地域プラットフォームを構築。

本ページの内容は、2025年9月〜11月にかけてRさんとChatGPTが実際に構築した
「明日は晴れるかな」プロジェクトの開発記録に基づいています。