飲食・観光・会津ぶらぶら「あいづ くらし」です。
会津本郷焼き(ほんごうやき) オープンファクトリーへの参加
知っているようで知っていなかった「会津本郷焼き」。地元では「本郷焼き」で通じますが、陶器あり、磁器ありで、何が「本郷焼き」なのかわかっていませんでした。今回、「会津本郷焼き オープンファクトリー 特別ツアー」というイベントに参加して、「会津本郷焼きにわか物知り」になってきましたので、会津本郷焼きをご紹介します。
にわか:「一時的に」という意味もありますが、「急になった」という意味もあります。できれば後者でありたい。
会津本郷陶磁器会館

(この写真は7月20日(2023年)に撮ったものを使用しています)奥の大きな建物が「会津本郷陶磁器会館」。右側の建物は別棟で「観光案内所」です、休憩にも使えます。トイレはどちらにもあります。「会津本郷焼き オープンファクトリー 特別ツアー」の集合場所が、「会津本郷陶磁器会館」で受付を行いました。

表題にある通り、会津本郷焼きは現在12の窯元があります。「会津本郷陶磁器会館」ではその12の窯元を一堂に展示していますので、各窯元の特徴や雰囲気を見て比べることができます。

生活用品の様々なモノが陶器、磁器で。釉薬(うわくすり、ゆうやく)もいろいろ、絵柄もいろいろ、窯元だけではなく作る人によってもいろいろなのが「会津本郷焼き」
「会津本郷焼き オープンファクトリー 特別ツアー」では、3つの窯元を巡り、見て聞いてきました。その前に歴史を少し。
会津本郷焼きの歴史
瀬戸出身の陶工、水野源左衛門は1645年に会津藩主 保科正之(会津松平家 初代藩主)に招かれました。観音山(かんのんやま)によい陶土を見つけて、本郷に窯場(かまば)を作ったのが本郷焼きの始まり。

「会津本郷陶磁器会館」の道路向かいは「向羽黒山城跡入口」になっています。写真の先が「観音山」(286m)、その先が「羽黒山」(344m)*1、更に奥が「岩崎山」(408m)と3つの山が連なっています。この全体が「向羽黒山城跡」になっています。写真の坂を少し登ったところに、旧会津本郷焼登窯郡図がありました。
*1:東山にある「羽黒山」と区別されて「向羽黒山」(むかいはぐろ山)と呼ばれます。
旧会津本郷焼登窯郡図

会津本郷には全盛期に70とも100とも言われる窯元がありました。この図には28の登り窯(のぼりがま)があります。1916年に起きた大火によって、ほとんどの登り窯(のぼりがま)が廃業。大火によって仕事ができなくなった職人の多くが、仕事を求めて各地へ移ってしまった為、再興が行えなかったという話を聞きました。
焼物の産地とは、すなわち原料となる粘土の産地です。陶器用粘土が産出できる地では陶器が焼物となり、磁器用の石が産出されれば焼物は磁器になります。1645年から始まった陶器に対し、磁器は1800年からになります。会津藩は佐藤伊兵衛を有田に潜入させて技術を習得。備前式登窯で原料は本郷にあった「大久保陶石」が使われました。
宗像窯 8代目当主 宗像 利浩、9代目 宗像 利訓
登り窯

2011年3月11日の東日本大震災により大きな損傷を受けましたが、現在は修復されています。火は下から入れていきます。

焼物を入れる部屋。焼物を入れたら、薪をくべる穴を残してブロックで塞ぎます。各部屋、両側から薪をくべます。3日3晩、不眠不休で焚き続ける作業になります。丸い蓋は、温度を測るためのもの。
案内は宗像窯 9代目 宗像 利訓さんにしてもらいました。宗像窯では、普段はガス窯で焼成が行われています。
お地蔵公園 五地蔵

登り窯へ向かう途中にあった公園。テーブルも椅子も焼物という話。

五地蔵は、1916年の本郷大火で亡くなった方を祀っています。

登り窯からの帰り道。左にあるのがお地蔵公園。本郷には小さな公園も多いのですが、狭い道を入って行くことも多く、まるで秘密の公園のよう。
宗像窯 店舗 外観

洒落た趣のある外観。
宗像窯 8代目当主 から話を聞く

宗像窯の先祖は、767年(奈良時代)に福岡県宗像大社から布教の為にこの地に訪れた神官でした。神社を建立し神官を行っていましたが、生活の糧を得るために焼物を初め、その後に専業となりました。
宗像窯 8代目当主 宗像 利浩さんからは、宗像窯の来歴から陶器の作り方、釉薬(うわくすり、ゆうやく)の妙で作品の雰囲気が変わるとか、洋食器が置かれて使うのに対し、和食器は手に持って使う話(五感で楽しめる器)、陳列されている実際の陶器で作風についてやそれぞれのこだわりについて等々、興味の尽きない話を沢山聞くことができました。

店は木の香りがしました。国内外で個展を開催するなど、意欲的に作陶されている8代目当主と9代目のお二人でした。
早春窯 工房 爽 田崎 宏

早春窯は磁器の窯元です。フレッシュ&マッチョな田崎さんから磁器の話、白磁の話、早春窯 工房 爽の話を聞きました。陶器、磁器とある会津本郷焼きの中でも白磁にだけ専念する工房 爽は珍しい窯元です。「絵も描いていたことがあるんですが、自分の描いたものが好きになれず、それを売るのが嫌になっちゃって」とは田崎さんの言葉。買う人は気に入って買うのですから問題はない筈ですが、買う人が褒めたり喜んだりする姿に、作り手なのに共感できない自分が嫌になったということでしょうか、潔い。大抵は自分に妥協するものですが、嫌なものをやめて、自分の作品作りに邁進することは大変だったと思います。

工房に入れていただいて、実演を通して早春窯 工房 爽の深掘り説明をしてくれます。早春窯 工房 爽は「削って仕上げます。なのでロクロは下手なんです」と言いながら、形の異なるものを次から次と作って見せてくれます。「会津本郷の窯元の皆さんはロクロが素晴らしいです」下手さ加減のハードルが高い。
早春窯 ガス窯

ガス窯も見せていただきました。温度を上げて入って焼成が終わってから、2日後に開けます。1日目ではまだ400度ほど、2日目でも70度ほど。今年は猛暑だったので、大変な作業です。
「ふたり展」会津本郷 田崎 宏 / 備前 山口 太志
2023.11.9(木)〜11.14(火) 新宿 gallery坂の準備真っ最中でした。
早春窯 店舗入口

申し込みで、ロクロ体験もできます。
早春窯 工房 爽の器は自家焙煎コーヒー豆の店 ラバーズコーヒーでも使われています。
酔月窯 五代目 理人

会津本郷で取れる大久保陶石を砕いて作る粘土を使い、絵の具の呉須(ごす)も会津本郷独特の色合いを持っていることから「会津本郷らしい」焼物が酔月窯。器は丈夫で、店で使われることも多く、家庭の日用品使いでも丈夫だから使い易い。絵は全て手書きで、じっくり見比べてお気に入りを探すのも楽しい。
娘の春華さんが六代目を継ぐ予定とかで、嬉しそうです。
大久保陶石

敷地内に置かれた大久保陶石。酔月窯では、大久保陶石を砕くことから全て行っていました。最盛期には100人以上の職人が働いていました。

手前の建物から、大久保陶石を砕いて、粉にして、水を加えて練って、粘土(プレス)にする工程(機械)が並んでいます。機械も古くなり、更新する事なく、今は専業の会社に外注しています。

店や会社からのバックオーダーが並んでます。店の名前入り丼とか器を、いつもどこで作ってもらっているんだろうって思ってましたが、窯元へ行って相談すればいいように用意してもらえるわけです。酔月窯では相談いただけば一つから作ると言ってました。電話で相談してくる人もいるらしく、流石に電話だけでは形や絵柄、図柄が伝わって来ないので、電話だけでの相談は無理ですと話されてました。
酔月窯 店内

陶芸体験もやっていて、ウチの子供達も子供の頃に学校行事でやってます。茶碗が残ってます。あまりにアバンギャルドなので使ってはいません。
会津美里町ホームページ:会津本郷焼オープンファクトリーツアー開催のお知らせ
<会津本郷陶磁器会館>
住所:〒969-6042 福島県大沼郡会津美里町瀬戸町甲3162
営業時間:9:00~17:00
TEL:0242-56-3007
定休日:毎週水曜日・年末年始(12/29~1/5)
駐車場:自家用車11台、大型バス乗降可
公式ホームページ:会津本郷陶磁器会館
<宗像窯>
住所:〒969-6127 福島県大沼郡会津美里町字本郷上甲3115番地
営業時間:9:00~17:00
TEL:0242-56-2174
定休日:水曜日
駐車場:2台
公式ホームページ:宗像窯
インスタグラム@宗像窯
<早春窯 工房 爽>
住所:〒969-6116 福島県大沼郡会津美里町瀬戸町3175
営業時間:9:00~17:00
TEL:0242-56-3732
インスタグラム@田崎 宏
Facebook@田崎 宏
<酔月窯>
住所:〒969-6116 福島県大沼郡会津美里町字瀬戸町3174
営業時間:9:00~16:30
TEL:0242-56-3103
定休日:毎週火曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:あります
公式ホームページ:酔月窯
インスタグラム@酔月窯
充実した時間で、あっという間に時間が過ぎてしまいました。今までフワフワとしか分かっていなかった、会津本郷焼きのことを知ることができました。
「あいづ くらし」は、会津のブロガーです。
